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2011年8月16日 (火)

 ウラヌスの物語。

 

 

 

 その名は「ウラヌス」、学名「ウラニウム」。 自然界に存在する、一番重い、原子の物語。

 

 それは、とある敬虔な少数部族によって、永きの間、大切に護られてきたのでした。

 

 しかし、目先の欲望に目が眩み、近代文明の稚拙さというものを疑おうともしない人間たちの意図によって、ある日、ウラヌスは大量に運び出され、ずたずたに引き裂かれる事となってしまったのです。

 

 「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 ウラヌスは、大きな悲鳴と共に、莫大な熱エネルギーをこの世界に放出した。 核分裂エネルギーである。

 

 引き裂かれてしまったウラヌスは、同時に、何よりも大事なものを失ってしまったのです!

 

 傷ついて、ボロボロになって、行き場を失い、埋められぬ寂しい心をまとったまま、自棄となったウラヌスは、やがて物凄い勢いで暴れ、さまよい、誰彼と無く絡みつき、その失ってしまった心を、必死で埋めようとするのでした。

 

 だが、自身の狂わされてしまった調律は、その想いとは裏腹に、行く先々でみんなに危害を加えてしまう。

 

 「何故だ!?」

 

 彼は自身をも疑い始める。

 

 忌み嫌われれば嫌われるほど、彼はさらに分離孤立の道を歩まねばならなかった。 増殖した不信は、より彼の虚無感を際立たせ、その振舞いは悪辣さを極めざるを得なかった。 束の間の温情に触れ、涙する事もあったが、それが彼の心を埋めるには、あまりにも悲しみが深すぎたのでした。

 

 「なにもかもが、俺につらくあたるんだよ! なにもかもが!」

 

 分裂によって、新たな生命が生じた。 生まれて間もない、未熟な原子たちには、眼前に生じている事が、己の心を映す鏡である事など、もはや知る由も無かった。 知ろうにも、彼らは生まれながらにして、その心の目に障害を負ってしまっているのだから。 ネプチューンやプルートたちの誕生である。

 

 

 穢された原子たちは、今、束の間の眠りについている。

 

 現代社会の苦悩の中で、打ち震えながら、海底深く、静かに眠っている。

 

 

 

 

 

  

 

 今、ここに感謝を。

 ありがとうございます。

 

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